日銀理論 2010 6 20

書名 「日銀貴族」が国を滅ぼす
著者 上念 司  光文社新書

 この本は、一般の人が気楽に読めるように、
週刊誌風に作られていますので、
たとえば、通勤の電車の中でも読めるでしょう。
 ただ、残念なのは、
世界の経済学とは離れて日本独自で発達した学問である、
「日銀理論」についての考察が少なかったことでしょうか。
 これは、著者が言うように、緊急出版だったので、
学問的な考察に時間が足りなかったのでしょう。
 こうした日本独自に進化を遂げた「日銀理論」については、
岩田規久男氏が詳しいと思います。
 ところで、デフレには二つの側面があると思います。
それは、「モノ」と「通貨」です。
「モノ」については、需要不足ということでしょう。
「通貨」については、何度か書いていますが、
デフレの時代に、現金は王様となり、借金は負担となります。
これは、経済学を学んでいなくても、直感的にわかることです。
だから、誰もが現金を欲しがります。
つまり、マネーは退蔵される傾向になります。
そういうわけで、マネーの枯渇感というと言いすぎですが、
マネーの不足感が出てくるのです。
その結果、大げさに言えば、
人々は、マネーに希少価値を感じるようになり、
さらにマネーが退蔵される傾向が強くなります。
 心理学的に言えば、物欲とは逆の、
「マネーに対する偏愛」が強くなるということです。
 なんだか回りくどい言い方をしましたが、
要するに、みんな、消費をしないで、お金をため込むということです。
 このような時代に、小売業は厳しいと思います。
はっきり言って、小売側にも消費者側にも、余裕などなく、
いつ終わるとも知れない、
値下げという「チキンレース」を繰り返していると思います。
















































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